材料(4人前)
*作り方*
近年ではイタリアンレストランのメニューや、すこし大きなデリカテッセンへ行けば、日本でもモルタデーラを見かけるようになりました。モルタデーラとは、イタリアのソフト・ソーセージ/ボローニャソーセージのこと。径の大きなモルタデーラを薄くスライスしたものが、サラダやサンドウィッチなどによく添えられるのは、イタリアもブラジルも同じです。
ブラジルではハムが高級食材として扱われています。そのため、日本のハムと同じような頻度と気軽さで食べられるのがモルタデーラ、となります。一般的なブラジルの朝食は圧倒的にパン食で、つまりブラジルの朝はコーヒーとモルタデーラで始まる、とも言えてしまうわけです。
ブラジル独特のムサレラ・チーズ(モッツァレラ・チーズよりも塩味が強く、弾力があります)と薄く薄くスライスしたモルタデーラを何枚も重ねて、フランスパンに挟んだり、ちょっと厚めのスライスを軽く炙ってから挟んだり。
もちろん、朝食だけではありません。パスタやピザの具としてもモルタデーラは定番ですし、薄いスライスで様々なものを包むお料理も、よく見かける人気レシピです。
日本では、お肉屋さんの店頭でスライスしてもらう、という習慣があまり定着していないため、ちょっぴり想像しづらいかも知れませんが、ちょうど日本の薄焼き玉子のような使い方もする、ということです。
イタリアはもちろん、ブラジルでも日々に欠かせない食材・モルタデーラ。使い勝手のよさも手伝って、日本の食卓にも少しずつ登場し始めています。
材料(6個分)
*作り方*
※オーブンは早めに予熱しておきましょう。
※発酵やベイクは環境によって仕上がり時間が違うので、それぞれの目安を確かめながら作りましょう。
お酒を呑みに行って一番最後の〆に注文するもの、と言ったならば日本の場合、お茶漬けや焼きおにぎりなどがポピュラー。では、ブラジルでは?ということで欠かせないお料理がカンジャです。
一口に表現するならばブラジル風鶏雑炊。トマトベースのチキンスープの中にご飯も具として入っています。サンパウロなどの都市部では真夜中や明け方近くに、カンジャを出してくれる屋台が多く出没。のんべえたちも次々と注文してゆきます。
お酒を呑まない人にとっても、カンジャはお腹にやさしく、身も心も温めてくれる癒しメニュー。日本の食卓にも違和感なく登場させられそうですね。
材料(4人前)
*作り方*
レンチーリャス。ブラジルでそう呼ばれる豆は、日本名が平豆。一般的にはレンズ豆という呼び方が定着しているでしょうか。豆にしては珍しい平べったい形と、それゆえの火の通り易さが特徴的なレンチーリャスは、ガルバンゾーと並んであらゆる大陸で食べられている、世界でも特に歴史が古い豆。旧約聖書にも登場するほどです。そんなレンチーリャスを、ブラジル人たちはどう見ているのでしょうか。
日本人が凸レンズに喩えるあの形。それがブラジルではコインに喩えられることが多い、といいます。そして毎月末にレンチーリャスを出来るだけ食べれば、お金持ちになれるのだ、とか。だからなのでしょうか。レンチーリャスが特にもて囃されるのが、クリスマスからお正月にかけての期間。月末にして年末のこの時期に、レンチーリャスをたくさんを食べれば・・・、ということなのでしょうね。
何となく感覚的には年越そばに近いのかも知れません。日本の年越そばも、元々は細く長く幸せにという願いとは別に、お金持ちになれますように、という願いが込められていた食べものですから(*)。
調理法はスープやサラダと様々ですが、ここでは美味しい炊き込みご飯をご紹介しましょう。日本の食卓にも違和感なく登場させられますし、お弁当にもよく合いますよ。
*江戸時代の金銀細工師は、飛び散った金粉・銀粉をそば団子を使って集めました。金粉・銀粉がくっついた団子を焼けば、団子だけが灰になって、金銀は残りますから・ここから"そばはお金を集める"と謂われるようになり大晦日にも食べるようになった、といいます。
材料(5-6人前)
*作り方*
例えば、フランスのクレープやメキシコのトルティーヤはもちろん、他にもインドのチャパティやマレーシアのロティ、またはエチオピアのインジェラなど・・・。本当に世界の各地には、粉にした穀物を焼いた生地で具を包んだり、ソースを付けたりして食べる、パン系統のお料理がたくさんあります。
ブラジルの場合、パステルはどちらかと言うとパイ系統のお料理になってしまいますが、パン系統のお料理だってちゃんとあります。その名もパンケッカ。
パンケッカ。その名の通り、パンケーキとほぼ同じものです。ただ、わたしたちに馴染みあるパンケーキと大きく違うのは、作り方ではなくて食べ方。パンケーキはそのまま何枚か並べて、ソーセージやスクランブルエッグに添えられること。あるいは、そのままシロップやバターを掛けて食べることが一般的なのに対し、パンケッカは焼きたてをくるくる筒状に丸めたものを並べて、そのうえにトマトソースやミートソースを掛けるのがポピュラーなんです。生地で具を包むのではなくて、ソースで生地を包む、というわけ。
ブラジルのごく普通の家庭でもよく作られていて、いわゆる"おかあさんの味"的お料理の中に、確実に名前が挙がってくるパンケッカ。今回、ご紹介するのは少しリッチなチーズ入りの生地にミートソースを掛けるもの。ですが、チーズなしの生地(配合比に注意)にトマトソース、というシンプルなスタイルがブラジルでは1番オーソドックスでしょう。
くるくると綺麗に巻くには、焼きすぎないのがポイント。何枚も一度に焼けないでしょうから、最初に焼いたものと、最後に焼いたものを同じように巻くためにも、固く絞った布巾で包んで乾燥を防ぎましょう。
*ソース作り方*
*生地の作り方*
※焼きあがった生地をハムやスライスチーズを挟んで巻き、ソースをかけてオーブンで焼いてもOK.チーズがとろけてVERY GOOD!!
ポービィリョ(ポルトガル語)とはキャッサバ芋から採取されるデンプンのこと。近年、日本でもタピオカでん粉としてあちこちで見かけるようになりましたが、ブラジルではどこの家庭に必ずある一般的な食品です。
ポービィリョには二つのタイプがあります。ドッセ(スウィート)とアゼド(サワー)でドッセが採取・精製しただけのデンプンなのに対し、アゼドは発酵させてあります。ですからお料理に使うと、かすかな酸味が感じられるんですね。
ブラジル人による、ポービィリョの最もポピュラーな使い方はポン・デ・ケージョというモチモチ食感のチーズパンの材料。このチーズパンは小麦粉を一切使わずにポービィリョと粉チーズ・卵・牛乳・塩で作られます。ドッセとアゼドに関しても、それぞれの家庭に独自の比率があるらしく、アゼドとドッセ半々の家庭もあれば7:3とか6:4というお宅もあるようです。
ポン・デ・ケージョは数年前に日本にも上陸。すでに定着している感もありますが、それに付随してタピオカでん粉も需要が高まってきています。タピオカでん粉の特色は、他のデンプンと比べて水を抱え込む能力が高く、他のでん粉に比べて粘り気が強いということ。そしてアレルギー反応を極めて起こしにくい、ということです。
だからなのでしょう。最近ではソーセージなど練り製品につなぎとして卵の代用で使われたり、ソーセージ類の増量剤として既存の大豆タンパクや乳清タンパクの代用に使われたり、こんにゃく類の保水率や口当たり向上のために使われたり、と天然食品添加物として脚光を浴びています。
けれども、添加物として国内に出回っているのはタイやインドネシアなど東南アジア産のタピオカでん粉とは違い、でん粉そのものを発酵させるなど、ブラジルはでん粉の精製・加工技術において東南アジア諸国より優れています。
現在、日本国内に出回っているポービィリョは在日ブラジル人市場くらいしかなく、用途もあくまでも食品としてです。つまりポービィリョは安心して毎日食べる添加物、とも言えるわけです。
これから確実に注目・脚光を浴びてゆくであろう新食品・ポービィリョを今からチェックしていてはいかかですか?
*作り方*
★そのままでもおいしいですが、アレンジでツナマヨやベーコン、ハムなどを挟んでサンドイッチもおすすめ★
わたしたち日本人が、ポルトガル料理として思い浮かべるもの。恐らく、その筆頭格は鱈料理でしょう。そして、その鱈を塩漬けにして乾燥させると、バカリャウとなります。一方、日本でも鱈はとてもよく食べられていますし、塩鱈の切り身から乾燥させた棒鱈まで、と鱈の加工法は南欧と極東で相通ずるものがあるようです。
ただ米飯が主食で、鱈もたくさん食べるこの日本で、意外にもあまり見かけないのが米と鱈のお料理。鮭ならば炊込みから雑炊まで様々にあるのに、です。
では、鱈とご飯の相性が悪いのか、と言えばそんなことはありませんし、この組み合わせが殊のほか好まれているのが、そう。ポルトガルです。様々な風味を効かせた鱈のリゾットや、スペインのパエリアのような炊込みご飯や。
そんなポルトガルからブラジルに伝わったのが、アホース・コン・バカリャウ。日本語に直訳するならばバカリャウ入りご飯、となるでしょうか。
アホース・コン・バカリャウ。このお料理がブラジル国内でブラジル料理と分類されるのか、あるいはポルトガル料理として分類されるのか、はとても微妙なのだと思います。そもそものバカリャウ消費量が、ブラジルとポルトガルではかなり違います。バカリャウそのものが高級食材として位置づけられているブラジルに於いて、アホース・コン・バカリャウを"ブラジルのとてもポピュラーなお料理"とするのにはどうしても躊躇が伴ってしまいますし、けれども大前提として外来のものとの融合によって成り立っているブラジル料理です。難しいことはさておき、ブラジルで食べられているものなのだから、それはブラジル料理。そう思ってしまってもいいのかも知れません。
鱈の風味が口の中に広がることのご飯料理は、にんにくとこしょう、パセリ、オリーブ油によって、ポルトガルなり、ブラジルなりの味わいになりますが、和風のだしで炊き上げたならば、しっかりとした和食にもなりそうなひと品です。
材料(5~6人前)
*作り方*
ホットサンド・メーカー。恐らく、日本のご家庭でもそれほど珍しくない調理器具の1つだと思うのですが、これがバウルーという名前だということ、ご存知でしょうか。そのうえ、このバウルーという名前の由来に、ブラジルが関わっていることはまだまだ広くは知られていないでしょう。
バウルーとは本来、ブラジルはサンパウロ発祥のローストビーフを使ったホットサンドの名前です。サンパウロ州バウルー出身のサンパウロ大学生が、Ponto Chicという軽食屋でいつも、ローストビーフとトマトとピクルスをサンドしたホットサンドを注文していたことから、周囲が段々、そのホットサンドをバウルー(Bauru)と呼ぶようになり、定着しました。そして今度はそれがさらに広まって、ホットサンドを作る器具もバウルー(Bawloo)と呼ばれていったわけです。因みにそもそものきっかけとなったサンパウロ大学生のCasemiro Pinto Neto氏。現在でもPonte Chic店内に銅像が飾られているほど。逆を言えば、それくらいバウルーというホットサンドがブラジル国内に定着し、市民権が得ている証です。
ブラジル国内では、極薄くスライスされたローストビーフを複数枚、他の具と一緒に挟むのが一般的で、日本人の感覚ではなかなかゴージャスなホットサンドとなるでしょうか。けれども本国ではとてもポピュラーな軽食であり、ブラジル式サンドイッチの代名詞的存在とも言るでしょう。現在では、様々なバリエーションも登場、定着しています。
ホットサンド特有のパン表面の乾いた食感と、温まったローストビーフの柔らかな食感とのコントラストと、しっかりした味付けが多いブラジル料理にあって珍しくあっさりとした味わいなのが特徴的。ローストビーフの美味しさがダイレクトに感じられるサンドイッチです。
*作り方*
※バウルーには、オレガノなどのハーブを加えるタイプや、ディジョンマスタードといった調味料を加えるタイプ、ピッカンニャ(イチボ肉のステーキ)・パルマハムなどの具も加えるタイプなど、バリエーションが様々あります。
※スプレッド代わりのマヨネーズは酸味の少ない淡白なものがいいでしょう。