サルガジーニョス

今すぐ体験!サルガジーニョス

 ブラジル人はとってもパーティ好き。ほぼ毎週のように親戚や友人を集めてホーム・パーティを開きます。そして、そんなパーティに欠かせないのがサルガジーニョス。コロッケや素揚げのミートボールといった揚物類です。

例えば日本では、小判型でも俵型でもコロッケはコロッケです。けれどもブラジルはそうではありません。大きなしずくの形をしたコッシーニャ、半月形のヒゾーレス、日本人にもなじみ深い俵型ならばクロケッチ、真丸いボーリンニョ、と形によって名前が変わります。コロッケの中身も違い、日本ならば生地と具が混ざっているのに対し、ブラジルのコッシーニャヒゾーレスは、まるでお饅頭のように具材を生地で包んでいます。ですからひと口かじると中から具が出てくる、という按配。

本場ブラジルでは、具材を包む生地もポピュラーなジャガイモのものもあれば、こねた小麦粉のもの、そしてキャッサバのものまであります。

 一方、ポルトガル料理の影響色濃いボリーニョ・デ・バカリャウは、生地と具のバカリャウ(塩鱈のほぐし身)がしっかり混ざった生地。こちらはお魚が苦手なお子さんがいるご家庭に、喜んでいただいています。

静かな人気を博しているのがキビ。殻つきの挽き割り小麦と牛挽肉を練って成形したもので、素揚げにして食べます。実はこのキビ、元々は中央アジアでコフタ、アラブではキョフテ、と呼ばれる羊肉のお料理。それが難民と一緒に大西洋を渡り、ブラジルのキビに。挽肉も羊から牛に変わりました。小麦のフスマの部分も豊富に含むキビは食物繊維がいっぱい。隠し味に入ったミントが、揚げ物のしつこさを緩和してくれます。

どの揚げ物もすでに味がついていて、日本のコロッケのようにソースをつける必要はありません。もし濃い味つけがお好みならば、ケチャップを添えるといいでしょう。

ポルトガルやアラブといった、世界各地の食文化の片鱗が見えるサルガジーニョスは、移民の国であるブラジルの食文化を象徴する側面をもったお料理です。

フットボール型をしたキビ

フットボール型をしたキビ

半月型のヒゾーレス

半月型のヒゾーレス

しずく型のコッシーニャ

三角形のエスフィーハ

スナック・軽食のレシピ

カショホ・ケンチパステル

モルタデーラ

ブラジルの朝はこれから始まる モルタデーラ

 近年では、イタリアン・レストランのメニューや、すこし大きなデリカテッセンへ行けば、日本でもモルタデーラを見かけるようになりました。モルタデーラ、それはイタリアのソフト・ソーセージです。径の大きなモルタデーラをごく薄くスライスしたものが、サラダやサンドウィッチなどによく添えられるのは、イタリアもブラジルも同じです。

 ブラジルでは、ハムが高級食材として扱われています。そのため、日本のハムと同じような頻度と気軽さで食べられるのがモルタデーラ、となります。一般的なブラジルの朝食は圧倒的にパン食で、つまりブラジルの朝はコーヒーとモルタデーラで始まる、とも言えてしまうわけです。
ブラジル独特のムサレラ・チーズ(モッツァレラ・チーズよりも塩味が強く、弾力があります)と薄く薄くスライスしたモルタデーラを何枚も重ねて、フランスパンに挟んだり、ちょっと厚めのスライスを軽く炙ってから挟んだり。

 もちろん、朝食だけではありません。パスタやピザの具としてもモルタデーラは定番ですし、ごく薄いスライスで様々なものを包むお料理も、よく見かける人気レシピです。
日本では、お肉屋さんの店頭でスライスしてもらう、という習慣があまり定着していないため、ちょっぴり想像しづらいかも知れませんが、ちょうど日本の薄焼き玉子のような使い方もする、ということです。

 イタリアはもちろん、ブラジルでも日々に欠かせない食材・モルタデーラ。使い勝手の良さも手伝って、日本の食卓にも少しずつ登場し始めています。

モルタデーラ・パン

モルタデーラ・パン

材料(6個分)

  • 強力粉 600g
  • ドライイースト 12g
  • ぬるま湯 350cc
  • 塩 小さじ2
  • 砂糖 小さじ5
  • バター 大さじ3
  • モルタデーラ 250g
  • パルメザン・チーズ 70cc
  • 卵白 適宜

*作り方*

  1. ボウルにぬるま湯と塩・砂糖・ドライイーストを入れて溶かす。
  2. ①のボウルに強力粉を加えてよく混ぜ、続いて室温に戻したバターを少しずつ練りこんでゆく。
  3. 生地をよく捏ねる。薄く手で伸ばしても破れず、でも透けるくらいになるのが、捏ねあがりの目安。
  4. モルタデーラを小口切りにして③の生地と混ぜ合わせ、ひとまとめにする。
  5. ボウルに生地を入れてからボウルにラップをして、30℃で40分ほど一次発酵させる。膨らんだ生地に粉をつけた指を突き刺して抜き、生地が沈まないくらいが発酵完了の目安。
  6. ⑤の生地を六等分して、オーブンの天板に並べます。しっかり絞った濡れ布巾被せて、10分ほど生地を休ませます。
  7. ⑥の生地を丸めて成形します。
  8. ⑦にしっかり絞った濡れ布巾を被せて30分ほど二次発酵させます。1.5倍くらいの大きさに膨らまのが発酵完了の目安です。
  9. 刷毛で卵白を生地の表面に塗り、パルメザンチーズをトッピングします。
  10. 210℃に予熱したオーブンで、⑨を20分焼きます。

※オーブンは早めに予熱しておきましょう。
※発酵やベイクは環境によって仕上がり時間が違うので、それぞれの目安を確かめながら作りましょう。

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カショホ・ケンチ

お腹が空いたらまずは、これ! カショホ・ケンチ

お腹が空いたらまずは、これ!  カショホ・ケンチ

 サンパウロやリオといったブラジルの都市には、ブラジルっ子たちが大好きな軽食を売るスタンドがたくさんあります。主にバーガーやサンドイッチなどが売られていて、パンに挟むもののバリエーションも様々。中には、軽食ではなくて立派な一食分に相当するほど豪華な具もありますが、手軽でシンプルな定番メニューも人気です。

 カショホ・ケンチはホットドッグのような存在。日本だと、上から切れ目を入れたコッペパンにソーセージを挟んでケチャップやマスタードを添えるのが一般的ですが、ブラジルのカショホ・ケンチは横側に切れ目を入れたフランスパンに、あらかじめ調理したサルシッシャをソースごとサンド。他の具も添えて 「いただきま~す!」

 ポルトガル語でカショホは犬、ケンチは熱いという意味。ホットドッグをそのまま直訳したような名前のカショホケンチは、きっと作り方や食べ方にこうしなければならない、という形式なんてありませんが、その中でもオーソドックスな作り方をご紹介しましょう。

カショホ・ケンチ

モルタデーラ・パン

材料(4人前)

  • ドッグ型フランスパン 4個
  • サルシッシャ 4本
  • 玉ねぎ 1/2個
  • ホールコーン 大さじ2
  • トマトソース 大さじ4
  • マヨネーズ 適宜
  • マッシュポテト 適宜
  • こしょう 適宜
  • Ex-Vオリーブ油 適宜

*作り方*

  1. ボウルにぬるま湯と塩・砂糖・ドライイーストを入れて溶かす。
  2. ①のボウルに強力粉を加えてよく混ぜ、続いて室温に戻したバターを少しずつ練りこんでゆく。
  3. 生地をよく捏ねる。薄く手で伸ばしても破れず、でも透けるくらいになるのが、捏ねあがりの目安。
  4. モルタデーラを小口切りにして③の生地と混ぜ合わせ、ひとまとめにする。
  5. ボウルに生地を入れてからボウルにラップをして、30℃で40分ほど一次発酵させる。膨らんだ生地に粉をつけた指を突き刺して抜き、生地が沈まないくらいが発酵完了の目安。
  6. ⑤の生地を六等分して、オーブンの天板に並べます。しっかり絞った濡れ布巾被せて、10分ほど生地を休ませます。
  7. ⑥の生地を丸めて成形します。
  8. ⑦にしっかり絞った濡れ布巾を被せて30分ほど二次発酵させます。1.5倍くらいの大きさに膨らまのが発酵完了の目安です。
  9. 刷毛で卵白を生地の表面に塗り、パルメザンチーズをトッピングします。
  10. 210℃に予熱したオーブンで、⑨を20分焼きます。

※オーブンは早めに予熱しておきましょう。
※発酵やベイクは環境によって仕上がり時間が違うので、それぞれの目安を確かめながら作りましょう。

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パステル

ブラジル式おやつの決定版 パステル

ブラジル式おやつの決定版 パステル

 ブラジルのおやつ、と言えばパステル。お好みの具を包んだ、一層構造の揚げパイです。アルゼンチンやボリビアのエンパナーダ(アルゼンチン風ミートパイ)には揚げたものとオーブン・ベイクするものがありますが、ブラジルのパステルは揚げるだけ。ぷくぷく膨らむ専用の生地は、歯に当たるとぽろほろ崩れてしまうくらいデリケートです。

 一方のパステルの具。パルメザンチーズと卵黄・チリパウダーを混ぜ合わせたものを詰めるとボリビア風エンパナーダに。牛挽き肉とレーズン・アーモンド・ゆで卵を炒めたものを詰めればアルゼンチン風エンパナーダになります。
さて。それではプラジル式のパステルにはどんな具が詰まっているのでしょうか。また具にバリエーションはあるのでしょうか?

ブラジル式パステル(ポピュラー・タイプ)

ブラジル式パステル(ポピュラー・タイプ)

材料(15個分)

  • パステル・カゼイロ 1パック
  • 油 大さじ3
  • 牛挽肉 450g
  • おろしにんにく 小さじ1
  • 刻み玉ねぎ 1個分
  • トマト 1個分
  • 塩・こしょう 適宜
  • ドライパセリ 大さじ4
  • 卵 1個

*作り方*

  1. パステル・カゼイロを解凍する。
  2. 卵を茹でる。
  3. トマトの皮と種を取り除いて、賽の目に切る。
  4. フライパンに油を熱し、にんにくと玉ねぎを炒める。
  5. ④に牛挽肉を加え炒める。
  6. ⑤にトマト、塩、こしょうを加え炒める。
  7. ⑥を少し冷まし、パセリと刻んだ茹で卵、オリーブを混ぜる。
  8. ⑦を適量ずつ、①で包み、とじ目を合せてくっ付ける。
  9. 揚げ油を中温に熱し、⑧を丁寧に揚げる。

他にも、よく溶けるチーズを挟んだり、トマト味のシーフードを詰めたり、そしてグァバのペーストとスライスチーズを詰めたり(ロミオとジュリエットと呼ばれるパステルです)。

ブラジルにはランショネッチという軽食を出してくれるお店がたくさんあります。サルガジーニョスと呼ばれるコロッケ類と並んで、パステルはランショネッチの看板メニュー。びっくりするぐらいのビッグサイズなのもブラジル流です。

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ポン・デ・ケイジョ

モチモチ食感&低アレルギー タピオカでん粉

 ポービィリョ(ポルトガル語)とはキャッサバ芋から採取されるデンプンのこと。近年、日本でもタピオカでん粉としてあちこちで見かけるようになりましたが、ブラジルではどこの家庭に必ずある一般的な食品です。

 ポービィリョには二つのタイプがあります。ドッセ(スウィート)とアゼド(サワー)でドッセが採取・精製しただけのデンプンなのに対し、アゼドは発酵させてあります。ですからお料理に使うと、かすかな酸味が感じられるんですね。

 ブラジル人による、ポービィリョの最もポピュラーな使い方はポン・デ・ケージョというモチモチ食感のチーズパンの材料。このチーズパンは小麦粉を一切使わずにポービィリョと粉チーズ・卵・牛乳・塩で作られます。ドッセとアゼドに関しても、それぞれの家庭に独自の比率があるらしく、アゼドとドッセ半々の家庭もあれば7:3とか6:4というお宅もあるようです。

 ポン・デ・ケージョは数年前に日本にも上陸。すでに定着している感もありますが、それに付随してタピオカでん粉も需要が高まってきています。タピオカでん粉の特色は、他のデンプンと比べて水を抱え込む能力が高く、他のでん粉に比べて粘り気が強いということ。そしてアレルギー反応を極めて起こしにくい、ということです。
だからなのでしょう。最近ではソーセージなど練り製品につなぎとして卵の代用で使われたり、ソーセージ類の増量剤として既存の大豆タンパクや乳清タンパ クの代用に使われたり、こんにゃく類の保水率や口当たり向上のために使われたり、と天然食品添加物として脚光を浴びています。

 現在、日本国内に出回っているポービィリョは在日ブラジル人市場くらいしかなく、用途もあくまでも食品としてです。つまりポービィリョは安心して毎日食べる添加物、とも言えるわけです。
これから確実に注目・脚光を浴びてゆくであろう新食品・ポービィリョを今からチェックしていてはいかかですか?

ポン・デ・ケイジョ(ブラジルのモチモチ食感チーズパン)

ポン・デ・ケイジョ(ブラジルのモチモチ食感チーズパン)

材料(6個分)

  • 発酵タピオカでん粉 50g
  • タピオカでん粉 50g
  • 牛乳 45g
  • サラダ油 25g
  • 全卵 20g
  • パルメザンチーズ30g
  • 食塩(お好みで省略可) ひとつまみ

*作り方*

  1. 牛乳とサラダ油を沸かす。
  2. 篩ったスターチに①を廻し掛ける。
  3. ②を捏ね、解いた卵を加えて更に捏ねる。
  4. ③にチーズと塩を加えて捏ねる。
  5. 予め180℃に温めておいたオーブンで約20分焼く。

ブラジル本国では、数年前からポン・デ・ケージョの中にチョコレートやクリームなどを詰めたタイプが大流行。せっかくの手作りポン・デ・ケージョです。本場の流行にならってみてはいかかですか?

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エスフィーハ

”Se→Es”の化学変化 エスフィーハ

”Se → Es” の化学変化 エスフィーハ

 まるでおにぎりのような三角形が印象的な、ブラジルのパン。それがエスフィーハです。ブラジルの代表的な軽食で、街中でもよく売られています。ひと口、頬ぱるとずっしりと詰まった牛ミンチの具が現れるエスフィーハは、正式名 エスフィーハ・フェッシャード。そしてもう1種類、小振りなピザのように、生地に具を載せただけの、エスフィーハ・アベルトがあります。
また、具も牛ミンチだけではありません。チキンのほぐし身とカチュピリ(ブラジルのクリームチーズ)が入っているものも、とてもポピュラーです。

 エスフィーハのルーツを手繰ると、中東のシリアに辿り着く、と言われています。そう、彼の地にもあるんですね、エスフィッハ(sefiha/一部、 sfihaという綴りも見受けられます)と呼ばれるピザのようなパンが。具材もやはり牛やラムのミンチを玉ねぎ、トマトで炒めたもの、となります。
そしてこのエスフィッハ、シリアのみならずレバノン、イラク、パレスチナ、ヨルダンといったシャーム文化圏(*)では、満遍なく食べられています。因みに、シリアでは加えないパセリを、牛ミンチに加えるとレバノン風なのだとか。

 中東から、南米はブラジルへ。この食文化の伝達は、内戦を逃れてブラジルに渡った難民たちがもたらしたもので、ブラジルには大人気の中東系のファストフード・チェーンもあるほど。
ですが、エスフィーハに限らず、他にも中東由来のキビや、もしかしたら中東の影響を受けているのではないか、と推測されるパステル(よく似たボレッキィという食べ物が中東にあります)などを考えると、単純にここ数十年間に起こった伝達ではなく、もっと歴史的な背景も考えられるのかもしれません。

 大航海時代に、新大陸を目指したのはスペインやポルトガルの船だけではなく、イスラム商船も多数ありましたから。ポルトガル→イスラム→ブラジル、あるいはイスラム→ポルトガル→ブラジル、という伝達ルートは、ブラジル建国以前から存在していた可能性は、否定できないのではないでしょうか。
中東だとsefihaと綴られるエスフィーハ(エスフィッハ)は、ブラジルだとesfihaと綴られています。大西洋を渡り、南米の大地で逆転したeとs、そして具材を包む三角形の外見。これらは、南米の気候風土がもたらした化学変化なのかも知れません。
そして今、そのブラジルから太平洋を渡って日本へと伝わり始めているエスフィーハは、この先どんな化学変化をするのでしょうか。

*シャーム:シリア、レバノン、パレスチナ、ヨルダン各国は、生活習慣や食文化がとても似通っていることから、一帯はシャームと総称されています。

エスフィーハ・フィッシャード

エスフィーハ・フィッシャード

材料(8個分)

◆生地◆

  • 強力粉 300g
  • ドライイースト 6g
  •  5g
  • 砂糖 15g
  • 全卵 1個
  • バター 8g
  • ぬるま湯 適宜

  • 牛ミンチ 200g
  • 玉ねぎ 1/2個
  • トマト 1個
  • おろしにんにく 大さじ1
  • 塩、こしょう 適宜
  • Ex-Vオリーブ油 適宜

*作り方*

  1. 玉ねぎをみじん切りに、トマトは種と皮を除いてザク切りにする。
  2. フライパンにオリーブ油を熱し、おろしにんにくと①の玉ねぎを炒める。
  3. ②の玉ねぎが透明になってきたら、①のトマトも加えてさらによく炒める。
  4. ③に牛ミンチを加えて、水分を飛ばしながらしっかりと炒める。
  5. ④に塩・こしょうで味をつけ、火からおろす。
  6. ⑤が充分に冷めたら8等分してそれぞれ簡単に丸めておく。
  7. 強力粉をしっかり篩う。
  8. 全卵を割りほぐし、卵と合わせて195gになる量のぬるま湯を加えてよく解きほぐす。ぬるま湯の温度が高いと、卵が固まり始めるので要注意。
  9. ⑧に塩・砂糖・ドライイーストを加えてよく混ぜる。
  10. ⑨に⑦の強力粉を加えて、粉っぽさがなくなるまでよく混ぜる。
  11. ⑩を捏ねる。手にベタベタくっつくが、ひとつにまとまるまで捏ねる。
  12. ⑪に何回かに分けてバターを練りこんでゆく。
  13. さらに捏ねて、生地を指で薄くのばし、向こうが透けるくらいまでにする。
  14. ⑬をひとまとめにしてボウルにいれ、ラップをかけて40分間、1次発酵させる(スイッチを押さずにオーブンの中へ入れてドアを閉めるくらいで温度管理OK)。
  15. 40分経ったらフィンガーテストをする。人差し指に粉を薄くつけて、⑭に差し込んで抜き、できた穴がそのまま維持できていたら1次発酵終了。穴が縮むならば発酵不足。逆に生地全体が沈んでしまうようならば発酵過多。
  16. ⑮を8等分にして丸め、よく絞った布巾を被せて10分間休ませる(ベンチタイム)。
  17. ⑯をそれぞれ伸ばし、⑥の具を1つずつ包んで三角形に閉じる。
  18. オーブンを180℃に温め始める。
  19. ⑰のとじ目を下にしてオーブンの天板に並べ、きつく絞った布巾を被せてそのまま室温下で10分ほど仕上げ発酵させる(冬は暖房下でOK。夏場は冷房下不可)。
  20. ⑨の表面に艶出しの溶き卵(分量外)を塗り、温まったオーブンで12~15分焼く。焼き色で時間は微調整すること。

※具材は鶏のほぐし身とクリームチーズにしてもよい

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トルタ

お菓子じゃないおかずのケーキ トルタ・サウガータ

お菓子じゃないおかずのケーキ トルタ・サウガータ

 ケーキやパイ、そしてタルト。こう言うとわたしたち日本人は、つい甘いお菓子を思い浮かべてしまいがち。
けれども洋菓子の故郷である西洋諸国では全く甘くない、お菓子というよりも"おかず"と言いたくなるようなケーキやタルトも定番です。

 フランスの伝統料理・キッシュはわたしたち日本人にも、そこそこ馴染みがありますし、ミート・パイなどはファストフードや、コンビニエンス・ストアのホットデリカ用メニューにもなるほど定着しています。ですが、本物のケーキのように丸型で、スポンジのようなキメのもの、となるとちょっと思い浮かばないのではないでしょうか。

 ブラジルの定番料理に、トルタ・サウガータというものがあります。サウガータとは塩味の、という意味ですから直訳すれば塩味のタルト、とするのが妥当でしょうか。塩味のタルト、となると即座にキッシュを思い浮かべる方も多いでしょうが、そこはやっぱりブラジル式。西洋文化の影響はとても強くはあれど、そっくりそのまま受け継いではいないんですね。
いつの間にかキッシュからタルト台が省略されて、フィリングだけを焼くようになったのか。それとも、スペインの巨大オムレツ・トルティーリャの影響を受けたのか。どういう過程を経たのかは想像するしかないですが、とにかくブラジルのトルタは、小麦粉と油脂と卵とベーキング・パウダーに、塩味をつけた生地に、チキンやサーディンをサンドして焼く、ということ。

 お菓子を作る際、砂糖の果たす役割というものがあります。砂糖は卵をしっかり泡立てる手助けをしてくれて、だからこそあのフワフワなスポンジができるんですね。つまり、ケーキをケーキたらしめる最大のものが砂糖である、とも言えるわけで、にも関わらず砂糖抜き、塩味付きのベイクドケーキ・トルタ。そのポイントはやはりスポンジケーキのように、どれだけフワフワに焼き上げられるか、ということなのですが、はてさて上手に膨らんでくれるかは、通常のケーキよりも多く加えるベーキング・パウダーと、作り手の愛情次第となりそうです。

トルタ・サウガータ

トルタ・サウガータ

材料(21cmの丸型1台分)

  • 薄力粉 250g
  • ベーキング・パウダー 大さじ2
  • 全卵 4個
  • 牛乳 200cc
  • 植物油 200cc
  • 玉ねぎのみじんぎり 100g
  • トマト 1個
  • オイルサーディン 220g
  • オレガノ 適宜
  • パセリ 適宜
  • 塩・こしょう 適宜

*作り方*

(下準備)焼き型にバターを薄く塗って薄力粉をまぶし、余分な粉を叩き落としておく

  1. オイルサーディンを缶から出し、笊あげして油をきる。
  2. トマトのヘタと種、皮を除いてザク切りにする。
  3. 玉ねぎのみじん切りと①、②、オレガノ、パセリ、塩・こしょうをボウルに入れてよく混ぜる。
  4. 薄力粉とベーキング・パウダーを合わせて篩う。
  5. オーブンを170度35分に設定して温め始める。
  6. 大きなボウルに植物油を入れ、続いて全卵も加える。
  7. ⑥を泡だて器でゆっくりと混ぜ、緩いマヨネーズ状にする。
  8. ⑦に牛乳を加えてさらに静かに混ぜる。
  9. ⑧に④を少しずつ加え、すり混ぜていく。ダマにならないように注意。
  10. ⑨がクリーム状になったら、塩をひとつまみ加えて、さらにさっくりと混ぜ合わせる。
  11. ⑩の半分を型に流し込んだ上へ③を敷き詰め、さらに残り半分の生地を流し込む。
  12. ⑪を⑤のオーブンで焼く。

※オープンの焼き時間はあくまでも目安です。途中、生地に竹串を刺してみて、何もついてこなければ焼き上がり。
温度が高くて表面の焼き色が濃くなりすぎた時は、アルミホイルを被せて焼き続けましょう。

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タピオカ

わずか数ミリのミラクル!! タピオカ

わずか数ミリのミラクル!! タピオカ

 今、ブラジル本国の都市部で、ちょっとしたブームになっている軽食があります。それは、タピオカ。…といっても、日本人がタピオカと聞くと、どうしてもあのタピオカパールを思い浮かべてしまいがちですが、そちらのブラジル名はサグー。ブラジルでタピオカと言ったらクレープやメキシコのトルテーヤのような外見をしている、薄い生地で具を挟んだお料理です。

 そもそもタピオカ、とはキャッサバ芋の別名。そしてそのキャッサバ芋のでんぷんがタピオカでんぷん、となります。タピオカパールはこれを丸めたもので、ブラジルのタピオカはこのでんぷんで作った生地、となります。

 タピオカでんぷん。これが自然界のものでありながら、とても不思議な存在です。水分を抱え込む力が、他のでんぷんに比べてとにかく強く、だからこそ、ポン・デ・ケイジョのあのもちもち食感も、タピオカパールのぷにぷに食感も叶います。
ブラジルのタピオカは、そんなタピオカでんぷんの特性を存分に活用したお料理。水分を含ませても半ばサラサラしている手触りの粉をそのまま加熱します。すると、粉の粒子と粒子がくっついて一枚の生地に。粉という"点"が、生地という"面"になる過程は、初めて知る人にとってはびっくりしてしまうものでしょう。ですが、これこそがタピオカでんぷんの秘めた力。ブラジル料理のタピオカは、まさしくわずか数ミリのミラクルです。

 具としてポピュラーなのが、干した牛肉のほぐし身とチーズの組み合わせや、バナナのソテー、ココナツ・ファインとチーズの組み合わせなどなど。ブラジルでは、生地を焼く寸前の粉と、具材をそれぞれ事前に作り、仕上げだけを路上で行い、販売している屋台が、よく見られます。

 実際に作ると、思っている以上に生地が裂けやすく、ちょっと上級者向けのお料理です。でも、ぜひタピオカでんぷんのミラクルを体験していただけたら、と思います。

タピオカ

タピオカ

材料(4~6枚分)

◆生地◆

  • タピオカでんぷん 250g
  • 水 1L

◆具A◆

  • シャルケ 250g
  • ニンジン 50g
  • 玉ねぎ 1/2個
  • チーズ(スライス) 4~6枚
  • 植物油 適宜
  • 塩・こしょう 適宜

◆具B◆

  • バナナ 4~6本
  • コンデンスミルク 適宜

*作り方*

  1. シャルケを薄く切り分けて、前夜から水に浸け塩抜きする。
  2. タピオカでんぷんを水によく溶かし、そのまま2時間ほど静かにおいておく。
  3. の上澄みを捨て、沈殿したでんぷんを布に包んで高い所から吊るし、2時間ほど水切りする。
  4. のシャルケを軽くフードプロセッサーに掛けて、ほぐし状にする。
  5. ニンジンを細切りに、たまねぎを薄いくし切りにする。
  6. フライパンに植物油を熱してを炒めたら、塩・こしょうで味を調える。
  7. によって取り出せたでんぷんの塊(石膏に似た状態になっています)をおろし金やザルなどを使って粉末状にすりおろす。
  8. を口が小さいビンのような容器に入れる。
  9. 熱していないフライパンにを使って粉を薄く、丸く、敷き詰める。
  10. を中火に掛ける。
  11. の粉の粒子同士がくっつき始めたらすぐに火をごくごく弱火にする。
  12. が全体的にくっついて一枚の生地になるまで弱火で加熱する。部分的に破れてきたら、そこだけ霧吹きで水を吹きかけて補修する。
  13. にチーズとを載せて半分に畳んだら、皿にとる。


薄く作ろうとすればするほど、作業がとてもデリケートになり、難易度が上がってしまいます。
スライスしたバナナを生地に載せて、コンデンスミルクをかけたり、具は様々に工夫できます。

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ボリンニョ・デ・バカリャウ

SATSUMAAGE LATINO! ボリンニュ・デ・バカリャウ

SATSUMAAGE LATINO! ボリンニュ・デ・バカリャウ
 日本に限らず、ブラジルに限らず、世界の様々な気候風土の土地々々で、けれども発想そのものはとても似通っている、と感じる各国料理は案外たくさんあります。これからご紹介するのもその1つ。わたしたち日本人にとって、本当に身近といいますか、まさしく和食材の1つである「薩摩揚げ」。要するに白身魚のすり身に繋ぎを加えて成形・素揚げしたもの、ですけれど、あれととてもよく似ているものの1つがタイ料理のトートマンプラーが挙げられます。同じく白身魚のすり身を成形・素揚げするお料理にして唯一、違うのがレッドカレーペーストなどのスパイス類が一緒に練り込まれている点、となります。スパイシーでホットなタイ式薩摩揚げですね。
それからもう1つ。こちらはポルトガルの伝統料理にして、そのままブラジルにも伝わったボリンニョ、と呼ばれるお料理。やはり、白身魚のすり身を丸めて素揚げしたお料理でもあります。
 …ごめんなさい。ここは敢えて明記させて頂きますが、「~素揚げしたお料理です」「~素揚げしたお料理です」ではなく、「~素揚げしたお料理でもあります」と口幅ったく書いたのには訳があります。といいますのも、ボリンニョと名付けられたお料理は、その名の通り、ボール型すなわち丸型であることが必須となっていて、逆を言えば白身魚のすり身以外を丸めたものでも、あるいは素揚げではなくきちんと衣が付けられたものでも、丸ければボリンニョと呼ばれるからなんですね。特に多いのがまん丸なコロッケで、こちらは素揚げではなくパン粉の衣もきっちり纏ったフライ。

 サルガジーニョスのページで、コッシーニャはしずく型、ヒゾーレスは半月型、クロケッチは俵型、と書きましたが、どうやらあちらの文化圏だと、この手のお料理は形状で分類するらしく、ボリンニョも小さなボール状だからボリンニョ、といった処でしょうか。こちらの場合は衣だけではなく、生地にマッシュしたジャガイモやキャッサバ芋が加えられるのが一般的ですし、魚も生の白身魚のすり身よりはバカリャウのほぐし身が多くなります。

 お話を戻しまして、南欧+中南米ラテン版の薩摩揚げです。よく見かけるのは生の白身魚を使うもので、ボバロ(すずき)が主流となるでしょうか。そして生地に加わるのが炒めた刻み玉ねぎと香辛料、調味料、さらには刻んだグリーン・オリーブの実あたりが挙げられそうです。…本当にそのまま南欧の雰囲気満載ですね。一方、見かける機会こそ少数派になりますけれど、それでもオススメしたいのが生の白身魚ではなくバカリャウを使用した薩摩揚げ。要するに塩抜きしたパカリャウの身をほぐし、フードプロセッサーにかけてから、玉ねぎやオリーブと一緒に炒め、そして成型・素揚げする、というもの。生の鱈を使うよりもずっと、パカリャウの風味が効いていて、ワインにも好相性だと思います。ただ、少しもさもさした食感になってまとまり難くなりますから、つなぎにコーンスターチを加えます。

 バカリャウはブラジルの都市部で多く食べられています。そして都市部には、イタリアやドイツ系移民も多いことから、薩摩揚げ式バカリャウのボリンニョも定着したのかな、と愚考しますけれどいかがでしょう。ジャガイモ入りのコロッケ式とも、生の白身魚のすり身を使った食感滑らかな薩摩揚げ式とも、また違ったバカリャウのボリンニョ。ちょっと大人のフィンガー・フードです。

ボリンニョ・デ・バカリャウ

ボリンニョ・デ・バカリャウ

材料(7~10個分)

  • 皮・骨を除いたバカリャウ 250g
  • 玉ねぎ 100g
  • 卵 1個
  • オリーブの実 50g
  • ドライパセリ 適宜
  • コーン・スターチ 50g
  • EX-Vオリーブ油 50cc
  • 揚げ油 適宜

*作り方*

  1. バカリャウを一昼夜、水に漬けて塩抜きする。水は数回換えること。
  2. ①をフードプロセッサーですり身にする。
  3. 玉ねぎをみじんぎりにする。
  4. フライパンにEx-Vオリーブ油を熱し、②と③をよく炒める。
  5. オリーブの実を適当に刻んだ後、軽く水に漬けて塩抜きする。
  6. ボウルに④と⑤、ドライパセリ、割りほぐした卵を入れてよく混ぜる。
  7. ⑥にコーン・スターチを少しずつ加え、成型できるくらいまでにまとめる。
  8. ⑦を好みの大きさで丸める。
  9. 鍋に揚げ油を熱し、⑧をキツネ色になるまで揚げる。

※オリーブの実は塩分が強いので、塩抜きしたあと、必ず味見すること。オリーブの実の風味はそのまま、でもボリンニョ自体は塩辛くなく仕上げるのがコツです。

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